Oh! Sweet Nuthin'

音楽を「dig」る楽しさを伝えるブログ

7月のPV(邦楽編) 「星野 源 - Family Song」「宇多田ヒカル - Forevermore」

7月リリースのPVの続き…

 

4つ目↓

星野 源 - Family Song

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自身が主演を務めるドラマ「逃げ恥」とのタイアップで大ヒットしたSingle「恋」に続く10ヶ月ぶりのNew Single。

このPVを見て驚いたのはその情報量の多さだ。

楽曲「Family Song」はドラマ「過保護のカホコ」とのタイアップで、ドラマのタイトルからも理解できる通り、テーマは「家庭」。加えて星野源自身がホストを務める話題のTV番組「おげんさんといっしょ」とのコラボレーションもあり、PVの内容は「音楽家族の日常」を描いたストーリーになっている。さらにPVの最中の障子越しのどんちゃん騒ぎに、最後のCM部分での告知と、サザエさんのパロディーも追加。「家庭」という一つのテーマに3つのモチーフが相乗りした盛り沢山な内容だ。

その内容を演じる出演陣も超豪華、超売れっ子である「星野源」自身の「おげんさんVer.」に加えて、ドラマ主演の「高畑充希」、友情出演?の「藤井隆」、バンドメンバーの「長岡亮介 aka 浮雲東京事変・Petorolz)」が何の断りもなく各々突然に登場。

さらにさらに、2016年の4thアルバム「Yellow Dancer」のAlbumジャケットデザインを手掛け、「ジャケット大賞2016」を受賞した「吉田ユニ」制作の植木のオブジェ(野球帽を被った植木)もPV内の随所で象徴的に配置されている。

さすが売れっ子、「星野源のPV」という一つの仕事に、様々な仕事・情報が相乗りしまくっている…正直「音楽」自体から読み取れる情報よりも、このPVから読み取れる情報の方が遥かに多い。このインパクトのおかげで、今回のPVでは、楽曲自体の出来不出来よりも、このPV自体の出来不出来の方が気になってしまった。PVの役割の本質である「楽曲への注目を集める」という機能をギリギリのラインでキープしながら、上記の情報の整理をしっかりと行った上で効果的に配置し、人物以外やオブジェ以外の背景をモノトーンにする事で不要な情報を徹底的に脱色する事で楽曲のイメージを守りつつ不要な情報の脱色を図る…「星野源」「ドラマ」「出演者」「デザイナー」の全員の顔を立てるために監督が相当頑張ったんだろうな…名采配だと思う。

また、この情報量を投入されても、押しつぶされる事無くしっかりと乗りこなしてしまう、「星野源」というアーティストのキャラクター性も凄い。「多才」という枕詞が付くアーティストは山ほどいるが、その「多才」さを、ここまでPOPに広く受け入れられる形で披露できるアーティストは、過去を遡っても彼くらいだろう。根底にあるのはPOPな文化への尊敬と憧れではなかろうか。PV内で「ナイトプールいきたい」なんてやり取りがあったが、彼は最新のPOP(大衆)文化を純粋な気持ちでフルに楽しむ能力が非常に長けている。リスナーが求める最新の文化・情報を上手に取り込みながら、作品として成立させる、この強力なスキルの研磨が続く限り、ヒットチャートにおける彼の天下は続くだろう。

 

最後5つ目↓

宇多田ヒカル - Forevermore

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長年の沈黙を破って「Fantôme」という大作Albumを投下、世間の話題を唐突にかっさらい、ヒットチャートのトップへと華麗に返り咲いた彼女。その後、紅白出場やネットイベント「30代はほどほど」を経て、今年2017年2月にレコード会社をデビュー当時からの古巣である東芝EMIからSony系列のEPIC Records Japanに移籍した。

今作「Forevermore」は移籍後2作目となるSingle曲だ。今作はそのPVの内容と参加ミュージシャンが非常に話題となった。

PVは宇多田ヒカル自身がコンテポラリーダンスを踊るというシンプルながらインパクト大な内容。振付はAtoms For Peaceの「Ingenue」でThom Yorkeの個性的な振付を監修して世間の注目を集めた「高瀬譜希子」。続いて参加ミュージシャン。昨今のJazzに注目している音楽ファンには朗報!なんと、Robert Glasper Experiment、D'Angeloに参加する超売れっ子ドラマーの「Chris Dave」がドラムで参加している。

凄いぜ宇多田ヒカル!コンテポラリーダンスに自ら挑戦する姿勢とそのとんがり方、参加ミュージシャンのチョイス、オーケストレーションとJazzのフレーズを取り込みながらなお宇多田ヒカル色を維持するその音楽スキル、そして自然体ながらも彼女独特で力強い日本語の配置・歌いまわし…彼女の才能と個性、そしてパーソナリティーが、一つに集約されて爆発している。

 

と、さらっとありきたりな紹介に留めます。宇多田ヒカルの新作については、ここでまとめるのに足らない程、書きたい事がたくさん思い浮かんでおります。ので、後日別途トピックを立てて分析してみようと思います。もしよければ、そちらもお読み下さい。

 

という事で 以上5つ。

今月は一曲一曲についてかなりdigったなー。そしてdigればdigるほど音楽にのめり込んでいく…いい傾向だ!ブログ始めてよかった!

読んで下さった方々、本当にありがとうございます!