7月のPV(今月のTOP)「Tyler, The Creator - Boredom」
7月にYouTube上で公開された音楽PVより、個人的に気になるPVを5作ご紹介。 楽曲のリリースタイミングとは異なりますのであしからず。
まずは今月の要注目作品から!↓
Tyler, The Creator - Boredom
Tyler The Creator の新作 Flower Boy より、アルバム発売に先行して発表されたSingle Cut曲。
トラックはメロウなイントロより終始一貫してSOULxPOPで色どられている。このトラックだけなら「センスの良い懐古主義の若者の戯れ」といった評価で終わるだろう。しかし、そこに皮肉たっぷりのコーラスとデモニックなラップが加わると、一挙に「最高にクールな若者の主張」に楽曲は姿を代えてまう。このギャップは従来からタイラーが18番とするものだが、そのスキルは全く錆びてない。しっかりと機能し、相変わらずの不健全な魅力たっぷりでリスナーをしっかりと捕まえて離さない。
OFWGTAが世の中に登場してもう5年程度経つ。タイラー、アール、ドモ・ジェネシス、ジ・インターネットとメンバーはそれぞれにデビューを果たし、その勢いはとどまるところを知らない。しかし、彼らはデビュー当時の「最先端を行くクールでサイコな若者集団」から「独自の価値観を持ったクールでメジャーなタレント集団」へと確実に成長している。
一挙一動が注目される大スターが、現代人のありふれた退屈を作品にした本作。従来からタイラーは、パーソナルな心理描写で世の中の多くの人の深層心理を浮き彫りにしてきたが、彼が本楽曲で訴える内容は、サイコ野郎の内面から現代人の内面へと変わり、リスナーにより接近した普遍性を伴う内容へ移行した。そして「退屈」を歌ったこの楽曲は、そのテーマにも関わらず、従来のタイラーの持ち味であった躍動感と刺激で満ち溢れている。
かくして、奇をてらわずともしっかりとリスナーを刺激する作品を作り上げるスキルを証明した今作は、デビュー以来、前作まで酷評を続けていたPitchforkに手のひらを返させ、Best New Musicの評価をもぎ取った。
繰り返しになるが、タイラーとOFWGTAはそのタレントを確実に成長させている、今後も彼の快進撃をは続くだろう。世間が彼の一挙一動をフォローする日々はしばらく続く事だろう。
(蛇足:タイラーの作品初参加ながらも、大先輩のカリスマFrank Oceanと同路線のチル&メロウ100%で勝負し、見事に楽曲を成功へと導いたRex Orange Countyもタイラーに負けじと本当に凄まじい才能だと思う...若干19歳の彼の活躍にも今後期待大…)
タイラーに夢中になって長くなり過ぎた…続きます!